ここ数週間、製麺工場の応援に入らせてもらっていました。
工場直売好(ハオ)で販売している点心を製造する正華本社工場には、製麺・包子・点心と、3つの工場がひとつの建物に集まっています。
中華の街・横浜でも、これだけの工程が一か所にぎゅっと詰まっているのは、実はとても珍しいんです。
そんな環境だからこそ、社員の働き方もさまざまです。
ひとつの工程を極めるスペシャリストタイプと、状況に応じて各工場を行き来しながら支えるタイプ。
私はどちらかというと後者で、日々いろいろな現場に関わらせてもらっています。
今回はその中でも、少し特殊な工程である「麺取り業務」に入りました。
少しだけ 麺ができるまで のお話を。
小麦粉に、かん水や塩、玉子などを加えて丁寧に撹拌します。
粒状になった生地を、今度はローラーでゆっくり圧をかけながら伸ばし、帯状(麺帯)にまとめていきます。
しっかりと圧縮された麺帯は、大きく巻き上げられ、乾燥しないように袋をかぶして、そのまましばし休ませます。
この“ひと休み”の時間が、麺にコシを生み、より扱いやすくしてくれる大切な工程です。
そして、いよいよここからが、私が今回担当した業務「麺取り」です。
寝かした麺帯を、3つのローラーを使い、さらに圧をかけながら、お客様(お店様)それぞれのご注文に合わせた厚みに仕上げていきます。
ゆっくり圧をかけ伸ばした麺帯を、最後は切刃を使って、規定の麺の長さにカットし、麺帯から麺線にします。
帯が麺に!みなさんがいつも食べている中華麺の完成です。
この麺の長さ(細さ・太さ・ちぢれ)を決める「切刃番手」が、実はラーメンの味を大きく左右します。
切刃番手はJIS(日本工業規格)で決められている規格です。幅30mmの麺帯から麺を切って何本の麺線にするかを決めているものになります。
通常、太麺は切刃番手が18番以下であることが多いです。
一方、細麺は24番や26番を指します。
切り刃番手の数字は1~30まであって、
数字が小さいほど太麺に、数字が大きいほど細麺になります。
たくさんの切刃。お店様によって、厚み、太さ、長さ、ちぢれかストレートかなどなど、細かく指定があるので、それを間違えずに切り出すのも苦労しました。
同じスープでも、麺の太さが変わるだけで、まったく違う一杯になる。
そんな奥深さが、麺づくりにはあるんですね。
地域ごとのラーメンの特徴を、番手で見比べてみるのも面白いものです。
| ラーメンの種類 | 切刃番手 | 特徴 |
|---|---|---|
| 博多ラーメン | 24~28 | 細麺・軽い食感 |
| 旭川ラーメン | 22~24 | 中細麺 |
| 岡山ラーメン | 22~24 | 中細麺 |
| 京都ラーメン | 21~24 | やや細め |
| 徳島ラーメン | 20~24 | 中麺 |
| 広島ラーメン | 20~24 | 中麺 |
| 東京ラーメン | 20~24 | 中麺 |
| 熊本ラーメン | 18~24 | 中太寄り |
| 酒田ラーメン | 21~23 | 中麺 |
| 札幌ラーメン | 19~23 | やや太め・コシあり |
| 函館ラーメン | 19~22 | 中麺 |
| 仙台ラーメン | 18~22 | 中太麺 |
| 鹿児島ラーメン | 18~22 | 中太麺 |
| 尾道ラーメン | 16~18 | 中太麺 |
| 白河ラーメン | 16~18 | 中太麺 |
| 横浜家系ラーメン | 15~18 | コシのある中太麺 |
| 喜多方ラーメン | 12~16 | 太麺・もちもち |
こうして並べてみると、
「細くて軽やかに食べる文化」と「太くてしっかり味わう文化」
地域ごとの違いが見えてきますね。
同じラーメンでも、麺が変わるだけで一杯の印象はガラッと変わる。
「ラーメン旅したくなりますね」
そして、個人的に一番難しかったのが「麺取り=麺を玉にして取る作業」です。
ベルトコンベヤーで流れてくる麺を、ひとつひとつ手でまとめて、きれいな玉にして木箱に並べていきます。
一見シンプルな作業ですが、これが本当に奥が深い。
機械を止めてしまうと、麺のグラム数が安定しません。
厚さ・番手・重さ、この3つがきちんと揃ってこそ、はじめて「1玉=商品」として完成します。
だからこそ、流れを止めずに、一定のリズムで作業を続けることが大切なのですが……
これが、なかなか思うようにいきません。
さらに、何十年も使い続けている製麺機には、いい意味での“癖”があります。
長年向き合ってきたベテラン社員は、その微妙な変化も自然と感じ取っていますが、私はまだまだその感覚が掴めず、苦戦の連続でした。
それでも、研修期間を含めて約1ヶ月。
ベテラン社員の代打として入らせてもらったこの時間は、難しさの中にある面白さや、ものづくりの奥深さを改めて感じる、貴重な経験になりました。
さぁ、
いよいよ最終日。
最後まで気を抜かず、事故のないように。
そして、少しでも現場の力になれるよう、丁寧に向き合っていきたいと思います。


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